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![]() ミッション:昼間の金星を探せ探検場所:国立天文台 三鷹キャンパス自然豊かな場所にでかけ、夜、見上げた空一面に広がる星。誰でも、思わず吸い込まれるような思いで見入った経験があるのではないだろうか。 もちろん、星空を見上げながら感じることは人それぞれ。大きな宇宙に励まされ、自分の悩みなんて小さい!と勇気をもらう人もいるだろうし、存在や時間といったことに思いを馳せ、哲学的思索にふける人も居るだろう。 いずれも星空の美しさだけでなく、宇宙の広さ、不思議さを感じてのことで、世の中に多くの天文マニアがいる事もうなずける。 天体を観測することは、洋の東西を問わず大昔から人間が行ってきたこと。 人は星を観察することで方位を知り、時間を知り、暦をつくった。 そして現代も世界中の天文学者が太陽や太陽系内外の恒星、惑星、彗星を観察し、宇宙や物質、時空の謎の解明に挑戦している。 とはいえ、普段、天体観察と縁もなく、天文学の専門家も身近に居ないボクには、どのような人たちが、どのような場所で、どのような機器を使って、どのような研究を進めているのか想像もつかない。そこで今回、日本の天文学のナショナルセンターである国立天文台を訪ねてみることにした。 国立天文台が行っている研究、活動は幅広い。 可視光、赤外線、紫外線、X線はもちろん、センチ、ミリ、サブミリ波などの電波や重力波による天体、天文現象の観測、コンピュータ、シミュレーションや理論の研究、先端装置や基盤技術の研究開発・設計、各種情報の提供などだ。 水素メーザ時計を用いた観測によって地球の自転に基づく世界時の決定に寄与したり、春分、秋分など二十四節季や日の出・日の入り、日食、月食などの計算を行って「暦象年表」を編成・公刊もしている。 さまざまな理科・科学データの原点として幅広く活用され、隠れたベストセラーにもなっている「理科年表」も国立天文台の編纂によるものだ。 太陽系外惑星探査や宇宙望遠鏡、月探査衛星のためのプロジェクトのようにちょっと想像がつかないくらいスケールの大きなことからボクらの日常に密着したことまで多岐にわたるわけだ。
国立天文台は、1988年に東京大学付属東京天文台、緯度観測所、名古屋大学空電研究所の一部が統合されて設立され、2004年からは法人化し、「大学共同利用機関法人自然科学研究機構国立天文台」となった。
天文台の正門 樹木が繁り、良い雰囲気です。 三鷹キャンパス地図(イラスト・藤井龍二) ■ 歴史を感じさせる味わいのある建物と観測装置-第一赤道儀室-1921年建設。1939年から60年間、スケッチによる太陽黒点の観測や写真儀による太陽全体の写真撮影が行われた。カール・ツァイス社製の口径20cm屈折望遠鏡が設置されており、望遠鏡の架台は重錘式時計駆動赤道儀(ガバナー式)となっている。
(写真左上) 第一赤道儀室外観 三鷹キャンパスで最も古い観測用建物。国登録有形文化財。
鏡筒全長97cm、対物レンズの有効径75mmで、1875年製。星の位置を測定する「子午儀」という望遠鏡で、教育用と使われたらしい。
1930年建設。国登録有形文化財。高さ約20mのドームから入った太陽の光が直径65cmシーロスタット(平面鏡2枚)に反射して垂直に取り込まれ、半地下の大暗室でプリズムや回折格子を使ってスペクトル分解され、観測された。塔全体が望遠鏡の筒の役割を果たしていることから「塔望遠鏡」とも呼ばれている。塔がまるまる鏡筒なんて、スケールが大きい! アインシュタインの一般相対性理論の検証のために作られたドイツのポツダム天体物理観測所のアインシュタイン塔と同じ構造、機能を持つためアインシュタイン塔とも呼ばれているそうだ(三鷹の施設では一般相対性理論の検証はできなかったとのことだ。)。黒点の磁場、太陽フレア、太陽の自転、太陽光スペクトルなどの観察、研究に使われた。 ■ “天文台”のイメージそのものの大型ドーム、大型望遠鏡-大赤道儀室(天文台歴史館)-
1926年完成。焦点距離10mに及ぶ屈折望遠鏡をすっぽり収めた木製ドームは造船所の技師の支援を得て作られたとのこと。そういわれてみれば船の内側のように見えてくる!
(写真左上)大赤道儀室外観
(写真左上)65cm屈折望遠鏡(カールツァイス社製、主望遠鏡:レンズ口径65cm、焦点距離1021cm、副望遠鏡:レンズ口径38cm、焦点距離1083cm)
(写真左上)65cm屈折望遠鏡の操作盤。 望遠鏡の操作は、現在はコンピュータで制御するのが一般的になっているが、この望遠鏡は機械操作盤で制御していた。 ■天体の精密位置観測を行うための子午環-ゴーチェ子午環、自動光電子午環-
子午儀とは、天体が観測者の子午線(南北方向)を横切るのを観測するのに適した望遠鏡装置で、子午環は、子午儀に天体の高度測定機能があるもの。天体の位置を精密に観測できる。国立天文台三鷹キャンパスでは1924年建設のゴーチェ子午環、1925年建設のレプソルド子午儀等により眼視による観測が行われてきたが、その後CCDカメラを使った精密観測も行われるようになった。
(写真左上)ゴーチェ子午環 1924年建設。天体の精密位置観測に使用。
(写真左上) 自動光電子午環の子午面視準器。望遠鏡と同じ光学系を持ち、望遠鏡本体を挟んで南北に2基設置。望遠鏡の光軸の位置と望遠鏡のたわみを検出する。 ■50cm公開望遠鏡で金星を見る!-50cm社会教育用公開望遠鏡-
こうして普段余り見ることのない観測機器などを見ていると、非常に興味深いし、歴史的な建物や機器は見ているだけで楽しいのだけれど、天体観測などをしたこのないボクにとってはなかなかピンと来ないところもあり、特別に50cm公開望遠鏡を動かして見せていただいた。
(写真左上)50cmカセグレン式反射望遠鏡(1994年、三鷹光器)。焦点距離は6030mm、口径比F12で集光力は肉眼の5000倍。眼視で16等、冷却CCDカメラで 21等(三鷹で理想的な条件が整った場合)まで観察することができる。倍率は、口径50cmの望遠鏡の場合、最高倍率500倍、最低倍率71倍という計算になる。倍率は接眼レンズを換えることによって変えるが、「望遠鏡の性能によるので、倍率を大きくすれば良いというものではない」とのことだ。因みに日本が誇るすばる望遠鏡(国立天文台ハワイ観測所)は主反射鏡の有効口径が8.2mで、焦点距離は15m。最近は世界の研究用望遠鏡の口径は3〜4mのものが珍しくなく、日本各地の公開天文台や科学館などに設置された望遠鏡でも50cm以上のものも増えてきたとのこと。一般公開されているものの国内最大のものは2mのものもあるとのことだが、この50cm望遠鏡でも月を見ればその一部分しか見えないくらい大きく見えるそうで、観望会のほか学生の観測実習や天体画像の撮影、開発中の観測装置の試験等、活躍中。
(写真左上)望遠鏡の先に角度を変えて見やすいように付けた筒(ワンダーアイ)の先に接眼レンズをつけて観察する。
(写真左上)望遠鏡を覗くと・・・見えました!金星。
(写真左上)50cm公開望遠鏡の外観
国立天文台三鷹キャンパスでは、この50cm公開望遠鏡を使って、毎月2回(第2土曜日の前日の金曜日の夜と第4土曜日)観望会を開催している。4月〜9月は19:30〜20:30、10月〜3月は18:30〜19:30で、毎回200〜300人の参加者で賑わうそうで、2003年の火星大接近の時等話題の天文現象が見られるときには1000人以上になる時もあるという。 詳しい開催日や観望天体は国立天文台三鷹キャンパスのホームページ内にある「定例観望会スケジュール」でご確認を。
また、三鷹キャンパスでは、年末年始(12月28日〜1月4日)を除く毎日10時〜17時(入場は16時30分まで)の間、本レポートで紹介した5
0cm公開望遠鏡を除く各施設などが「自由見学」でき、年に一度(2007年は10月27日(土))、通常は見学できない観測・実験施設の公開や特別講演会などの「特別公開」が行われる。
施設の一般見学は水沢、岡山、野辺山、石垣島などでも行っており、ハワイのすばる望遠鏡も2005年からドーム内公開をしている。
国立天文台
三鷹キャンパス 常時公開コース見学(自由見学)
国立天文台三鷹キャンパスでは、指定された見学コース内(所要時間:約1〜2時間)を自由見学できる。
見学可能日:年末年始(12月28日〜1月4日)を除く毎日。10:00〜17:00(入場は16:30まで、事前申込みは不要) URL:www.nao.ac.jp/about/mtk/visit/jouji.html |
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