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光探検隊が行く!!


ミッション:科学する楽しみを魅せる

探検場所:日本科学未来館

 あたりまえの話だけれども、科学技術は、多くの人間が努力して研究を重ねた結果の積み重ねで進歩を続けている。更にそれは、ごく一部の研究者に任せておけば良いというものではない。多くの人が持つ、未来に対する夢や希望が研究開発の推進力となるのだ。第一、科学に興味をもつ人材が数多く居てはじめて優秀な研究者も生まれる。科学技術力が衰えれば天然資源の乏しい日本はかなり貧しい生活に戻らざるを得なくなるだろう。情報産業もサービス産業も、科学技術力やそれを元にした工業力のベースがあってのことである。

 大人にも子供にも探究心や好奇心のキラキラした瞳を思い出させるため、そして延いては日本や世界の科学技術力を発展させ、人類の未来を切り拓くためにあるのが科学館の役割であるといってもいいだろう。

 今回は、光探検隊の科学館探検の第2弾。東京港の新地・江東区青海にある日本科学未来館(Miraikan)を訪ねてみた。Miraikanは2001年7月に開館した比較的新しい科学館で、「科学がわかる 世界がかわる」をスローガンとしている。「未来を視野に入れて自信を持って今を生きることができる社会をつくろう」ということを目指しているとのことで、先端科学技術を伝えることのほか、科学技術コミュニケータを育てることや、学校、内外の科学館、産業界、研究者、行政府などをつなぐことも使命としている。

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■ Geo-Cosmos―――日本科学未来館のシンボル:直径6.5mのLED球体ディスプレイ

 日本科学未来館の巨大な吹き抜けエントランスから長いエスカレータを昇り、3階からシンボルゾーンを見下ろすと目に入るのが大きな地球だ。1階から6階までの吹き抜け空間にその日の朝までの地球の姿を映し出す。この巨大な球体「Geo-Cosmos」は約100万個のLEDを取り付けた世界初の球体ディスプレイになっている。

 Geo-CosmosはMiraikanの館長である毛利衛さんのアイデアにより生まれたという。日本人で初めてスペースシャトルに乗り、2度の宇宙飛行を体験した館長ならではの提案であり、「宇宙から見た地球を皆で共有したい」という望みどおり、空間にぽっかり浮かんだ姿はMiraikanの個性そのものとなっている。因みに周りのオーバルブリッジ(吊り橋状のスロープ歩道) とGeo-Cosmosの距離は静止衛星軌道と地球の距離に相当するそうだ。

 Geo-Cosmosの大きさはホンモノの地球の約200万分の1である直径約6.5mで、重さは15tあるという。世界初の大型球形ディスプレイゆえ、画素となるLEDの大きさや配列など、綺麗に発色させるために大変な困難があったようだ。ここではもちろん、他の映像――例えば、地球温暖化シミュレーションの結果や海表面温度、などを映し出すこともでき、時間により、インタープリター(展示解説員)による解説もある。また、9月22日から24日に行われたイベント「中秋の名月 未来館でお月見! 2007」では、このGeo-Cosmosが月に早変わりしたという。

 周りにはオーバルブリッジがあるとは言え、大きいため、刻々と変わる映像を上や下、裏側などから見比べるわけにもいかないが、迫力は満点でシミュレーション結果などがすごく納得できる気がする。当日は、一酸化炭素濃度と、温暖化シュミレーションなどを見せていただいたが、刻々と一酸化炭素排出の様子を映し出した様子を見ていると、環境保護への思いが強まること請け合いだ。毛利さんは初めての宇宙飛行(1992年) から帰り、「宇宙からは国境線は見えなかった」と話したそうだが、人間の営みの結果は国境を越えて広がるものであり、そういう意味でも自分たちだけのことでないと実感できる。


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Geo-Cosmos。映っている画像は「今日の地球」(SSEC/NASA提供)
Geo-Cosmosは、2度の宇宙飛行を経験した科学者である毛利さんが、「宇宙から見た輝く地球の姿を多くの人と共有したい」との思いから生まれた。(因みにオーバルブリッジ途中には過去に宇宙へ行った人や生物の写真がずらりと展示されている。)
(左) 空間にぽっかり浮かんだ光る球体はまさに“地球”。
(右) 1Fのシンボルゾーンから見上げるGeo-Cosmosは正に宙に浮いている感じ。毛利さんが宇宙から眺めた地球の感動が伝わるようだ。


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(左) シミュレーションや観測結果を映し出しながらインタープリターがわかりやすく解説してくれる。
(右) 5階の展示室側から見ると目の前に青く輝く“地球”(Geo-Cosmos)が。


■ “謎の素粒子”ニュートリノを捉える

 2002年、小柴昌俊博士がノーベル物理学賞を受賞したことで一躍有名になった“謎の素粒子”ニュートリノ。岐阜県神岡鉱山跡である1,000mの地下に作られたスーパーカミオカンデで宇宙線ニュートリノを検出するために使用された光電子増倍管とスーパーカミオカンデの10分の1模型が展示されている。


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 ニュートリノ検出のための巨大施設スーパーカミオカンデで使用されている光電子増倍管(実物)。結構大きい。月面で1秒間照らした懐中電灯の光も検知できる性能だという。


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(写真左) 光電子増倍管の背面側 (写真右) スーパーカミオカンデでは、11,146個の光電子増倍管がビッシリと並んで配置されているという。


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同コーナーに設置された1/10モデル。実物は直径39m、深さ41mなので、1/10でも結構大きい。チェレンコフ光をイメージした青い光がチラチラ光る。


■ 光でアート

好き勝手に線や形を描くとコンピュータが更に線を付加したり動きを出して一緒に画像を作ってくれる「共画」や、光の魚が泳ぐのを捕まえれば音が出る楽しい展示「スモール・フィッシュ」、大きなスキャナのような機構で読み取った一次元の画像に時間を加えてできた二次元画像を楽しめる「時間の壁」など、センシング技術とコンピュータにより光のアートと遊びを楽しめるインタラクティブな展示もある。


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(左) 「共画」テーブル上に専用ペンで絵を描くと頭上のセンサーが形状を認識し、それをコンピュータが線や形を加え、動きをつけてくれる。(ムービー)
(右) ゆっくり回る赤い椅子。座っていると正面ディスプレイ脇のスキャナが読み込んで、自分を含めた不思議な画像が映し出される「時間の壁」。


■ 深海を探る目

 5階の「地球環境とフロンティア」コーナーには有人潜水調査船しんかい6500が展示されている。現在運航中の有人潜水調査船としては世界で一番深く水深6,500mまで潜ることができる。

 耐圧殻の前方と左右に合計3つの覗窓が付いているが、高い水圧に耐えるため、厚さ7cmのメタクリル樹脂を2枚組み合わせたものが付けられている。また、水深200mを過ぎると太陽の光はほとんど届かないため、自動車の強力なヘッドライト3〜4個分の明るさがある投光器が付けられている。マリンスノーなどの懸濁物が少なく海水の条件が良い海域で、全灯を使って照らしても視程は10m程とのことだ。


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(左) しんかい6500の舳先部分。投光器とスチルカメラ、ビデオカメラ、マニピュレータ(ロボットアーム) が備え付けられている。勿論、水圧がすごいから覗き窓は小さい。
(右) 居住空間は直径2mと狭い。ここに3名が乗り組み、最大8時間程度調査を行うという。


■ ロボットだって光を見てる

 本田技研が開発した、今や超有名な二足歩行ロボット「ASIMO」の実演も行われ、まるで人が入っているかのようなスムースな動きに多くの人が見入っていた。このASIMO 2005は時速6kmで走ることだって出来る。日本のロボット開発30年の歴史の賜物だ。

 「ASIMO」は、アイカメラの連続撮影画像から輪郭の特徴で人を識別するとともに赤外線センサとCCDカメラから構成されたセンシングシステムにより障害物検出や位置補正を行っているという。ガラスなど視覚センサでは捕らえにくいものは超音波センサで感知する。


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(左) スムースな動きに皆ビックリ。
(右) Miraikanに今年4月からやってきた最新型の「ASIMO」は6km/hで走ることもできるようなった。


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こちらは科学技術振興機構(JST) が開発したヒューマノイドロボットPINO。外界の動きを認知する主役は視覚センサー。色、形、ものの動く方向と3色の色を認識することができる。


(左) 高速で反応する光学センサーとサーボ機構の連動(ムービー)
(右) 上部に設置した光学センサーで左右いろいろな方向から飛んでくるボールを感知し、連携して3本指のロボットアームがボールをキャッチする。(ムービー)


■ 先端技術に欠かせない光技術


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(左) 「マイクロマシンをつくる」コーナー。光造形により作製されたマイクロマシンなども展示されている。
(右) 「光技術のナノテクロジー」コーナー。


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(左) 「マイクロマシンをつくる」コーナーの実体顕微鏡で見る光造形。そのほか、「生命の科学と人間」の分野では、脳、ゲノム、医療のコーナーなど、至る所で実際に顕微鏡を覗いてみることができる展示も多かった。
(右) すばる望遠鏡の模型。


■ 企画展―現在は「地下展 UNDERGROUND−空想と科学がもたらす闇の冒険」を開催中

 未来館では、常設展示のほかにも実験を通して先端科学に触れることができる実験工房やトークセッションなどが行われるほか、VRシアターや全天周映像とプラネタリウムが楽しめるドームシアターガイアもあり、そのほかに科学技術がもたらす変化や新しい世界像に焦点をあてた企画展も開催している。2007年9月22日から2008年1月28日には「地下展 UNDERGROUND−空想と科学がもたらす闇の冒険」が開催されている。

 都市の地下には交通網やライフラインなど生活の基盤があるが、更に広く深く見ていくと地下は資源の供給源であり、地球の構造、成り立ち、46億年の時間までもが埋め込まれているといえる。まだまだ未知のことが沢山残された領域だ。毛利さんは、地下展のオープニングの際のスピーチで、地下展の展示でもあったとおり、従来生存しないと考えられていた地下3200mで生物が見つかっており、「地球外生命体の存在を確信しました」と語っていた。地味な印象で殆ど一般に知られていない地下の世界だが、新しい発見と可能性がいっぱいだ。


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会場内は白い再生発泡スチロールブロックを積み上げた空間にプロジェクターで映像を映し出したり、3D映像や大きなガラス球面の背面投射型ディスプレイなど、光技術をふんだんに使ってディスプレイ効果をあげていた。


 上野の国立科学博物館が確証された科学や自然史を展示し、北の丸の科学技術館は企業の最先端技術を中心に「えー、何で?」という不思議体験の科学館であるのに対し、日本科学未来館は科学を応用した未来や夢を展示すると共に実際に開発している「人」にスポットライトを当てた展示になっている。館内には多数のインタープリターと呼ばれる展示解説員が居り、尋ねればかなり詳しく説明をしてくれる。因みに、緑の上着を着ているのがMiraikan職員である科学コミュニケーターで、オレンジの上着がボランティアである元教員・研究員だ。案内をしてくれた広報・国際渉外室の小山氏は「科学コミュニケーターは、科学者や科学技術と一般の市民の方々の橋渡しをする役目を担う未来館の大切な人材です。どんどん質問をしてください。」と話していた。

 建物全体は明るくスマートなデザインであり、また、展示物は皆、本物の持つ質感を感じさせるものが多かった。もちろん、今回紹介した以外にも超伝導、情報、生命科学など様々な展示がある。自分の興味あるイベントとあわせ、是非一度訪問してみるとよいだろう。


取材協力
日本科学未来館

所在地:東京都江東区青海2-41
TEL:03-3570-9151(代表)
URL:www.miraikan.jst.go.jp
開館時間:10:00〜17:00
休館日:火曜日、年末年始(12/28〜1/1)
入場料:大人500円、18歳以下200円、未就学児 無料 ※ 企画展は別料金
交 通:新交通ゆりかもめ(新橋〜豊洲) テレコムセンター駅 徒歩4分
    東京臨界高速鉄道りんかい線(新木場〜大崎) 東京テレポート駅 徒歩15分

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