
ミッション:日本のゴーグル・サングラスの歩みを調べる
探検場所:山本光学株式会社
海や山へ出かけるとき、サングラスやゴーグルが欠かせない。たとえ、旅行などに出ることが少ない人でも服装に合わせたカッコイイサングラスのひとつやふたつ、持っていることだろう。
サングラスというと、まずファッション性が気になるところだが、海や雪山へ出かけるときには強い紫外線や厳しい自然環境から目を守るため、そのレンズの性能やフレームの形状にも十分注意しなくてはならない。以前、春のアルプスに出かけたとき、まる1日陽光の下、雪稜を登ったあと、パートナーである大の男が涙を流しながら目が痛いと言い出した。太陽からの光や雪面で反射した紫外線が角膜を炎症させる、いわゆる雪目だった。彼はサングラスを掛けていたのだが、雪山用のサングラスやゴーグルではなく、顔の脇側、レンズと顔の間が大きく開いた普通の眼鏡タイプだったため、強い紫外線が入ったのだろう。また、もしかしたらレンズ自体が紫外線をカットしていないものだったのかもしれない。
レンズの品質という点では自分にも失敗した経験がある。それは紫外線云々の問題以前の話だが、30年以上も前のこと、サングラスをして山を歩いているとなんとなく気持ち悪くなる感じがして、いつも不思議だなぁと思っていた。ある時、明るい日の下で、サングラスのレンズ表面を斜めからよくよく眺めてみたら、なんとレンズの表面が凸凹にひどく歪んでいるのが分かった。それ以来、安物のファッショングラスなどは決して買わず、信頼できる品質のものを選ぶようになった。

雪山登山やスキーでは機能的で高品質のサングラス、ゴーグルが必携。
ここのところ、また、新しいサングラスが欲しくていろいろと考えているところだが、どんな形?、どんな色?、偏光?、調光?…と悩んでしまう。そこで今回は、マラソンやスキー等のスポーツ用グラス、ゴーグルの有名ブランドSWANSの製造元であり、レーザ保護眼鏡や防護眼鏡分野で長い実績を持つ山本光学株式会社を訪ねてみた。

(写真左) 東大阪市の山本光学大阪本社。
(写真右) 大阪本社に隣接する技術研究所。ここで高機能レンズやフレーム、生産技術を開発している。

山本光学のスワンズは、スノースポーツだけでなく、マラソン、プロ野球やプロゴルフにも愛用者が多い。
(写真左) 日本を代表する長距離ランナー有森裕子さんも山本光学のアドバイザリースタッフの一人。
(写真右) プロゴルファーの諸見里しのぶさん。
山本光学は、明治44(1911)年、初代の山本晴治氏が大阪市内で眼鏡レンズ加工業を創業。昭和10(1935)年頃から防塵眼鏡の製作もはじめた。昭和16年より戦時体制となり、軍需工場として航空隊や戦車隊用のゴーグルを製作。戦後、昭和22年に保護眼鏡、遮光眼鏡の製造を開始し、昭和30年には日本初のプラスチック成型によるサングラスフレームを開発。昭和39年に日本最初の強化レンズ入りサングラス・テンパーグラスを開発し、昭和46年にははじめて防曇スキーゴーグル「スワンズ」を発売した。

(写真左) オートバイ用ヴィンテージゴーグル。
(写真右) 航空ゴーグル(復刻盤昭和30年頃)。

(写真左) 昭和31年、石原裕次郎氏が映画「太陽の季節」で使用した日本初のサングラス。
(写真右) 昭和46年、世界で始めて発売された曇り止めレンズゴーグル
注目を浴びるアスリートや多くのアマチュアスポーツマンが使用するスポーツグラス、ゴーグルだが、一方、防塵、保護眼鏡に関して山本光学は昭和10年からの長い実績を誇る。というより、保護眼鏡に関する長い経験と技術があったからこそ、溶接用保護眼鏡やレーザ保護眼鏡ができ、その技術を応用してスポーツグラスが生まれたのだといえる。
保護眼鏡においては、耐衝撃性や耐擦傷性、耐薬品性、防曇性などが求められ、また、遮光特性については、アーク溶接作業用、ガス溶接作業用、高熱炉作業用など用途により様々な性能が求められる。紫外線(380nm以下)は角膜に作用して障害を起こす原因となるし、赤外線(780nm以上)は網膜を傷める可能性がある。また、可視光線でもλ=435nm〜440nmのブルーライトを長時間浴びると網膜が損傷して視覚障害をおこす。

強化ガラス
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CR-39
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ポリカーボネート
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対衝撃試験後の各レンズの写真
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液晶溶接面
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具体的にレーザ光遮光保護眼鏡で見てみよう。まず、フレームの形でいえば、顔面との密着度が高く眼鏡の上から併用できるタイプもあるゴーグルタイプ、度付めがね装着者併用可能なオーバーグラスタイプ、軽量コンパクトで通常のサングラスに近い形の2眼タイプなどがある。また、レンズの種類でいえば、光学濃度を高く設定し、通常可視レーザ光を見ることができない「レーザ光完全吸収タイプ」、複数の波長のレーザ光に対応する「多波長兼用タイプ」、整備用に光路、光軸確認ができる「レーザ光一部透過タイプ」、可視光透過率が高く視認性に優れた「強化ガラス(完全吸収)タイプ」、光学濃度、損傷閾値を高く設定した「ハイパワーレーザ光対応タイプ」などがある。

YL-130 可視光半導体レーザ用
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YL-717 アルゴンレーザ用
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YL-331 アレキサンドライトレーザ用
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レーザシールドカーテンYL-600
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屋外スポーツなどでの場合は、外に出て直ちにどうなるというものではないが、レーザ保護眼鏡などでは、僅かな失敗が大きな事故に繋がることもある。さらに厳しく品質、性能を考えなくてはならいないだろう。人間は、外界の認識のかなりの部分を視覚に頼っている。目と光、レンズとフレームに関する知識を身につけて、大事な目を護ってくれるアイウェアを正しく選択しよう。
※山本光学様には多くの写真提供もしていただきました。どうも有り難うございました。
取材協力
山本光学株式会社
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